アメリカ南部に生きる

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『アメリカ南部に生きる』表紙

書籍名   : アメリカ南部に生きる
        (アメリカナンブニイキル)
著者名   : セオドア・ローゼンガーテン 著/上杉 忍、上杉 健志 訳(セオドアローゼンガーテン/ウエスギ シノブ、ウエスギ ケンジ) 
発行日   : 2006-05-15
税込価格 : ¥5250
本体価格 : ¥5000
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★『朝日新聞』06.7.2 野村進評
「“恐るべき記憶力、観察力、行動力!”――奴隷解放後のアメリカ南部に生きた黒人の長老の一人語りなのだが、綿花畑で働くのがどんなに大変な作業かは実感として伝わってくるのだけれど、四百字詰め千七百枚以上にのぼろうかという大著の半ば過ぎまで、ドラマティックな展開に欠ける。ところが、このネイト・ショウという老人の叙述スタイルに馴染むにつれ、彼の言葉が深海に降り積もるマリン・スノーのごとく心の底に沈殿してゆき、ある堆積を超えたあたりで“化学変化”が起こる。まるで海底の機雷が次から次へと炸裂するかのように、驚愕が広がってゆくのである。とにかく、この異常な記憶力は何だ!。害虫に対するファーブル顔負けの観察眼を、彼は自分たち黒人の世界と、それにのしかかってくる白人の世界に向け、しかもドキュメンタリー・フィルムみたいに克明に再現しえたのである。かくして成立した本書は、私の中の図式化されたディープ・サウスの黒人世界を大きく塗り替えた。白人地主のように振る舞う黒人地主がいる。小作人のショウに雇われて綿つみをする貧しい白人たちもいれば、おのれの卑劣な仕打ちの数々を、死ぬ前に黒人たちに詫びてまわる白人商人もいる。とはいえ、黒人は白人の圧倒的な支配下にあり、あの手この手の巧妙な手口で、しぼりとられるままに一生を終える者が大半なのだった。奴隷の子として生まれたショウは、読み書きがまったくできなかった。が、恐るべき観察力と記憶力に加え、用心深さと粘着質の行動力によって、白人地主らからの迫害をひとつひとつ退け、やがて自動車まで所持する成功者となる。ショウの背骨を貫いていたのは、「自分を大切にし、誇りを失わない」気概であった。その彼も、だが、白人たちからの銃撃にやむをえず応戦したあげく、不当な懲役十二年の獄中生活を強いられる。それでも辛抱強く耐えに耐え、59歳で釈放されるや、「わしの一生の中で一番激しく働いた」と言うくらい、再び野良仕事に没頭するのだ。最近かくも鼓舞された自伝を、私は知らない。」

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