カフカの友と20の物語

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『カフカの友と20の物語』表紙

書籍名   : カフカの友と20の物語
        (カフカノトモト20ノモノガタリ)
著者名   : アイザック・B・シンガー 著(アイザック・B・シンガー) 
発行日   : 2006-06-09
税込価格 : ¥3360
本体価格 : ¥3200
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★「毎日新聞」池内 紀、06.7.23
「(シンガーは)ナチス・ドイツの侵攻に先だちアメリカに移り、「アメリカの作家」になった。ノーベル文学賞を受けてのちも、少数者の言葉を捨てず、イディッシュ語で書きつづけた。だから二十一の物語には、それぞれの末尾に(作者およびエリザベス・ジャブ英訳)といったことわりがついている。舞台がニューヨークであれ、イスラエルであれ、あるいはかつてのワルシャワであれ、主人公はたいてい社会のはみ出し者だ。みずからの人生哲学が、世の中の寸法に合わないぐあい。建物と同じで、少しずつゆがみが生じ、そのうち傾いたまま、あやうげにとどまっている。にもかかわらず―あるいは、だからこそかもしれないがその口から、英知あふれたセリフがこぼれ出る。「われわれ人間はみな宿命とペアを組んでチェスをする」人が一手指す間に宿命は三手指して、詰めにかかるというのだ。「ユダヤ人は忘れなさすぎる。それがわれわれの不幸なんだ」ヘブライ語のレシャアイムは「悪者」の意味。「歴史をつくるのはこの悪者だ」色こくユダヤ文化を身にうけた世のはずれ者たちである。どの短篇にも、お道化と知恵とが微妙な比率でまじり合っている。ホラと真理がトランプの裏と表のようにとじ合わせてある。ほとんど死滅しかけた言葉で、とびきりシャレた都会雑誌「ニューヨーカー」の定連作家になったシンガーにしか書けなかった、まさしくそんな物語だ。」

★「読売新聞」野崎 歓、06.7.9
「アイザック・B・シンガーの名は、ノーベル文学賞受賞者として歴史に刻まれている。(彼は)ニューヨークで暮らしながら、東欧ユダヤ社会の言語であるイディッシュを捨てなかった。イディッシュで書き、その後英訳により再発表するという手間をかけ続けた。ナチスによる虐殺で、イディッシュを理解する人間の数は激減。亡命したユダヤ人の間でも、使用者は減るばかり。滅びゆく言葉に固執したのはなぜなのか? イディッシュによってこそこの世のあらゆる物語を掬い上げられるという確信が、作家の内にはあったのかもしれない。次から次へと逸品が供される本書を読み進めるうち、そんな風に思えてくる。古代以来の教義をつゆ疑わない父親。信仰を捨てて極道に走る息子。神秘な力を備えた色事師。戦後のニューヨークでヒトラーの姿を目撃してしまう女。ささいな悪戯で一生を棒に振る少年。バラエティ豊かな人物像には目を瞠るばかりだ。モーセ五書やラビとは全く無縁の人間でも、ユダヤ共同体のただなかで、驚くべき知恵と狂気のエキスを注入されている気分になってしまう。イディッシュから、作者自身も加わっての英訳を経て日本語へ。言葉の壁を超えて伝わる物語の凄味がある。信じるにせよ反逆するにせよ、絶対的な神の影を意識せずには生きられなかった人々の苦難と歓喜を、読者は存分に体験できるだろう。」

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