ゲットーを捏造する
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| 書籍名 : ゲットーを捏造する |
| (ゲットーヲネツゾウスル) |
| 著者名 : ロビン・D・G・ケリー 著/村田 勝幸、阿部 小涼 共訳(ケリー ジー(G) ディー(D) ロビン(R)/ムラタ カツユキ、アベ コスズ) |
| 発行日 : 2007-04-19 |
| 税込価格 : ¥3045 |
| 本体価格 : ¥2900 |
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★歪んだ階級イメージと闘う
CMやMTVで、アメリカの大都市に住む貧しい黒人の若者たちほど危険な存在に描かれる集団はない。荒れたシャッター街の落書きや鉄条網の中のバスケットコートなど、日本のお笑いもなぞるほど嘘くさいいイメージだが、これらは 「イラク戦争のブッシュ」や「靖国神社の小泉」と同じくらいに巧妙に操作されて作り上げられた「悪」の映像なのである。
だが、出来あいのイメージによって路上に放り出される側はたまらない。一九六二年、黒人運動に沸くマンハッタンのハーレムに生まれた著者はその捩れ切った論理をこう描く。
――こうした映像に現れる「麻薬と銃に溺れる黒人たち」を矯正するには、福祉や反差別法を極限まで切り落として自立を促すしかない。それができない者は安らかに刑務所か天国に行ってもらおう。黒人だからといって何の援助もされない社会こそ、キング牧師が夢見たカラーブライント、肌の色によって差別されない素晴らしい世界なのだから。
一握りの「成功した」黒人たちがそう呼びかける。これではキング牧師は棺桶の中で二度殺されるだろう。この逆転した言説や「問題」の捏造を遮う側も曲がりくねらざるをえない。このカーブの連続に耐えよう。ここで思い浮かぶのは、イスラム、北朝鮮、いじめ、ホームレス、フリーターといった「問題」が語られる時のいかがわしさである。
二年前、著者は沖縄の辺野古で基地反対運動に加わる。そして今、火器を携えた掃海艇が密かに冲へ向かう頃どこかで「かりゆしウエア」がコーディネートされ、調査に抵抗する小さなカヌーが蹴散らされた直後に首相のにこやかなクールビズ姿がクローズアップされる。
世界はこうして「捏造」される。非白人に対する差別的なバスのシステムをめぐるロサンゼルス当局との闘いを人種やシェンダーを通した階級支配に対するコミュニティーの抵抗として描くクライマックスが、猛烈に前頭葉を刺激する。
(東京新聞 2007.6.10) 平井 玄(音楽評論家)評
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