ゲットーを捏造する

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『ゲットーを捏造する』表紙

書籍名   : ゲットーを捏造する
        (ゲットーヲネツゾウスル)
著者名   : ロビン・D・G・ケリー 著/村田 勝幸、阿部 小涼 共訳(ケリー ジー(G) ディー(D) ロビン(R)/ムラタ カツユキ、アベ コスズ) 
発行日   : 2007-04-19
税込価格 : ¥3045
本体価格 : ¥2900
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★ゲットーを捏造する――アメリカにおける都市危機の表象(ロビン・D・G・ケリー著/村田勝幸・阿部小涼訳 2900円+税、07.4.28刊)
「あの地区は危ないから足を踏み入れない方がいい」――周りの人間から恐れられ、遺棄され、隔離され、敬遠され、軽蔑され、「悪」のレッテルを張られた空間は、あらゆる大都市に存在するといっても過言ではない。ヨーロッパでは、非ヨーロッパ出身の移民労働者の集住地区がそう名指される。日本でも古くから部落問題が存在してきたし、近年では外国人の集住地区も後ろ指をさされたりする。アメリカの「黒人ゲットー」もそんな空間の一つだ。そのアメリカで1980年代を境に、黒人ゲットーをめぐる言説に変化が起きる。ゲットーで暮らす黒人が貧しいのは人種差別や社会構造のせいではなく、黒人がゲットーで発達させた文化に問題があるとする「アンダークラス」論が強まったのだ。本書は、こうした「黒人ゲットー文化」の表象によって黒人への偏見が強められ、差別的な扱いが正当化されるメカニズムを理論的に解体していく。ゲットーの住民が貧しいのは「怠惰や諦め、向上心の低さ、生活態度、道徳的欠如といった行動や文化のあり方に原因がある」という論調が強まり、「問題のある文化や生活規範」を名指す言葉として「アンダークラス」が用いられるようになる。このような「貧困の文化」論はどのように形成されたのだろうか。著者は、一見「科学的な」言葉でゲットーを論じる「専門家」たちが、ゲットーのステレオタイプ化に決定的な役割を果たした。それは「ゲットー文化」を欠陥、逸脱、脅威の観点から捉える保守派の論客だけでない。リベラル派の論客も、都市黒人文化の多様性を無視し、文化を一枚岩的に捉えたことによって、ステレオタイプを結果的に強化したと批判される。こうして、黒人の貧困と彼らの行動規範の関係性が自明視されるようになり、そこに「黒人は国家の支援に依存するからダメなのだ」という主張が当てはめられ、貧者を「救う」には、もはや「援助」を与えてはならないという「自助の論理」が導き出される。その背後には、「自由競争は平等であり、そこは人種主義からも自由であるしという「信仰」が息づく。この「信仰」が、強者に心地のよいイデオロギーでしかないことを強調し、こうしたイデオロギーがあるからこそ、同じ国家の支援が、黒人貧困層に与えられる場合には「自助を妨げる福祉/施し」と否定的に呼ばれ、大企業や富裕層居住区に与えられる時には問題にされないという事態を可能にしたのだという。本書の議論はアメリカの黒人ゲットーに限定されない。ケリーの描きだす世界は、小泉政権以来、「自己責任」や「自立」が声高に叫ばれるようになり、高齢者、障害者、若者、シングルマザー、外国人などの「弱者」が次々と切り捨てられていく日本社会の現状とも重なりあう。また、ネオリベラリズムの浸透に伴って、住宅、教育、雇用、交通など社会のあらゆる領域が「貧困雇用」と「富裕雇用」の二つに寸断され、「平等な自由競争」のの下に、「文明」のイメージとはかけ離れた、ジャングルさながらの「野蛮」な争いが繰り広げられる様子を描き出しているが、これは日本社会の未来を不気味に暗示しているようにも思われる。」(森千香子氏「論座」10月号)

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