書籍名 : 石斧と十字架
(イシオノトジュウジカ)
著者名 : 塩田 光喜(シオタ ミツキ)
発行日 : 2006-07-05
税込価格 : ¥4935
本体価格 : ¥4700
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★『日本経済新聞』9.17 京都大学教授・片山一道
石斧と十字架―パプアニューギニア・インボング年代記』(塩田光喜著、4700円+税、06.7.10刊)「不思議な書である。まるで長編叙事詩のようだが、実は正真正銘の年代記。石器時代のほだ火が燃えつづける人たちの歴史を渾身の力で語る。およそ言葉が似合いそうにない社会のことを饒舌に語るのだから、たいした語り部だ。石器時代とか無文字社会は、とんでもない昔のことではない。実は1940年代の頃までも存在した。いちばん最後まで石器時代が続いたのは世界第二の巨島ニューギニア、その内陸高地である。そこに散らばる村では、ときに諍い、豚と火喰い鳥の羽根などが財産、石器と木器と土器だけで千年一日のごとき営みがあった。そんな石器時代の部族社会だが、まずはヨーロッパ人の宣教師が近づき、山師(黄金探し)も足を踏み入れる。ついにキリスト教が席巻、やがてヨーロッパ人の植民地となる。当然のこと、飛行機にいたる鉄製品、缶詰などの食品、文明の象徴たる衣服類、そして貨幣経済や資本主義までもが押しよせたから、てんやわんやの大混乱。まるで日本の弥生時代から明治の頃までの歴史を、人間一世代分の時間でたどるようなもの。とどのつまり、ニューギニアは独立(させられ)、獰猛な現代世界に放りこまれてしまった。石斧と十字架が混在する由縁である。そのニューギニア高地に赴き、まだ石器時代の匂いが芬々とするインボング族のなかで二年もの歳月をかけて聞き書き、ひとつの村が近代の荒波にのみ込まれていく過程を再構成したのが本書。日本の文化人類学者シオタは半身インボング族になりながら、21世紀の危機的状況に向けて血刀をつきつける。学術書でもあるから、ただの紀行文やルポルタージュなどと違い、いささか難解なところがあるのはしかたあるまい